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障害児でも楽しめるイベントはある!〜「いけまぜ」体験談〜

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こんにちは、重度障害児の母、たんぽぽ母ちゃんです。
 
お子さんに障害があると、お祭りや人が集まるイベントには行けないという方も多いのではないでしょうか。
 
うちの息子も、小さい頃は家の外に出て風に吹かれただけで大泣きしていたので、人が集まるようなイベントにはとても連れていけませんでした。
 
しかし、世の中には障害児向けのイベントを主催しているNPO法人なんかも存在するのです。
 
障害児向けのイベントは、障害児や家族が楽しめるよう、様々な配慮や工夫がなされています。
 
今回は、その中でも道内で有名な「いけまぜ」というイベントの体験を紹介し、障害児の参加できるイベントについてを書いていきます。

◯いけまぜとは

いけまぜは、北海道のNPO法人、特定非営利活動法人 障がい児の積極的な活動を支援する会 にわとりクラブの開催するイベントです。
 
いけまぜ夏フェスとして、1997年から障害児向けの夏祭りのようなイベントを開催しています。
 
にわとりクラブの理事長は高橋義男先生。
 
以前紹介した、マンガ「義男の空」のモデルになった現役の脳外科医です。
 
 
1997年といえば、まだまだ障害児の療育も進んでいなかった時代です。
 
障害児は社会にとってなんの役にも立たない存在とされ、障害児もその家族も、社会に出ることすら難しい時代だったといいます。
 
そんな中、障害児が積極的に社会に出て活動することを北海道で推進してきたのが高橋義男先生でした。
 
いけまぜ夏フェスは、障害児のためのお祭りです。
 
どんなに重い障害があっても、沢山のボランティアさんの支えを受け、様々な配慮の中でイベントを楽しむことができます。
 
積極的に社会に出ることが難しかった子どもたちや家族でも、障害があることの後ろめたさを忘れて楽しい夏の思い出を作ることができるのが、いけまぜ夏フェスです。
 

◯いけまぜ夏フェスのイベント内容

いけまぜ夏フェスは、お祭りや運動会を混ぜたようなイベントです。
 
いけまぜは、毎年北海道各地をめぐり、地域の小学校を借り上げ、一年がかりでイベントを企画します。
 
北海道は広いので、長距離の移動が難しい障害児でも参加できるようにという配慮ですね。
 

•イベントを支えるボランティア

ボランティアは、地域の福祉施設の職員たちや、福祉関係の仕事に関わる人たち、学生さん、その他様々な人たちに声をかけて集められます。
 
うちが初めていけまぜに参加した当時、私が働いていた障害者のグループホームの職員、療育先の先生たちといった、見知った人たちが大勢ボランティアとして関わっていました。
 

•様々なブース

いけまぜ夏フェスは、2日間に渡って開催されます。
 
1日目は主にお祭りのような内容で、教室やグラウンドを利用して、さまざまなブースが設けられています。
 
  • 縁日のようなブース
  • スヌーズレンの部屋
  • 絵本の読み聞かせの部屋
  • 親向けのマッサージの部屋
  • 木のおもちゃが集められた部屋
  • ママ向けネイルサロン
  • ごろごろするだけの部屋
  • ストラックアウト
  • 体育館での催し物
  • 障害者向けダンスなどの催し物
私が回っていない部屋もあったので、他にも本当に沢山のブースがありました。
縁日のブースでは、車椅子の子でも楽しめるような高さに工夫されていたり、くじの意味が分からなくても、浮き球を吊るして思わず手を伸ばしたくなるように工夫していたりと、障害児向けの工夫が見られました。
 
教室を利用したさまざまなブースは、参加者が自由に回ることができます。
 
親が楽しめるブースも沢山あり、マッサージやネイルサロンのブースでは、本物の整体師やネイリストが、全てボランティアで施術してくれました。
 
その間子どもは、ボランティアさんが見てくれます。
 
絵本のブースでは、学生さんや読み聞かせのボランティアさんが、絵本を読み聞かせてくれます。
 
体力のない子どもたちのために、各所に休めるブースやスヌーズレンも設けられています。
 
もちろん、看護師や医師も待機しているので何かあっても安心です。
 
体育館でも様々なブースが設けられ、ボランティアのピエロさんたちが、バルーンアートなどで子どもたちを楽しませてくれます。
 
障害者向けのアロハダンスなどの講習も、参加フリーで行われていました。(のちに、「義男の空」7巻に登場した、二分脊椎の女の子のモデルとなっていた方だったのだとわかりました。)
 
いけまぜでは、義男先生に助けられ、その後それぞれの能力を伸ばして、障害者があっても社会で活躍されている方も多く参加されています
 
その他、頭に大きな手術痕があり、両手の指が数本ずつしかない男の子が、みごとなピアノ演奏をしている様子には、大変感動しました。
障害があっても能力を伸ばせば活躍することができる、と肌で感じることのできた経験でした。
 

•開会式

体育館では、数百人の参加者と、同じほどの人数がいるボランティアが一同に会し、開会式が行われます。
 
開会式では、いけまぜのテーマソングが力強く歌われ、イベントの歴史と参加者の想いの深さが感じられました。
 
ボランティア団体による楽器演奏やピエロショー、力強いよさこいの踊りなども間近で見ることができ、圧巻でした。
 
主催者の義男先生は、当時何も知らなかった私には、やんちゃでフランクなおじさんという印象でした。(失礼ですね)
 
しかし、周囲で話を聞く方たちの様子から、なんだかとても熱意と影響力のある人なんだろうな、ということは伝わりました。
 

•食事

普通の食事が難しいお子さんにとって、外出時の食事は大変ですよね。
 
いけまぜでは、1日目の夕食にはカレーの弁当が出るのですが、事前に刻み食やペーストなど、形態の指定をしておくことができます。
 
食事自体もボランティアさんがサポートしてくれるので安心です。
 
我が家は弁当を頼まず経管栄養を持参しましたが、お弁当を頼んでみても良かったかなと思いました。
 

•花火

1日目の夜には、必ず校庭で大きな花火を打ち上げます。
 
しかも、ちょっとしたお祭り規模の大きな打ち上げ花火です。
 
うちの子も、花火を間近で見るのは初めてで、経験したことのない大きな音に泣いてしまわないかと心配していたのですが、不思議と泣かず、全身でその響きを感じているようでした。
 

•お泊まり

イベントは2日間あり、夜は教室に泊まることもできます。
 
我が家はお泊まりは経験していないのですが、希望する場合は寝具も貸してもらえます。
 
仲の良い人がいれば、一緒の部屋にしてもらうこともできるそうです。
 
毎年参加し、キャンプのようにお泊まりを楽しみにしている方も多いようです。
 

•運動会

2日目には、参加者全員で大運動会が行われます。
 
参加は自由で、1日目だけの参加でも大丈夫です。
 
参加当時の息子は体力もなかったので参加していませんが、ボランティアさんのサポートで、大きなイベントにも主体的に参加できるようになっているようです
 

◯我が家のいけまぜ体験談

•イベントの参加方法

イベントの参加は、いけまぜのHPなどから申し込みます。
 
イベントが近くなると、病院や療育施設などにもチラシが置かれるようになります。
 
申し込み時には、子どもの病状や食事などについて、かなり細かい情報も記載したように記憶しています。
 
付き添いボランティアの要不要や、参加したい日時、布団の利用の有無や兄弟児の有無についても確認があります。
 

•いけまぜ参加費

参加費は日帰り大人1500円、子ども1000円でした。
 
主にTシャツの値段です。
 
いけまぜでは参加者とボランティア、それぞれ色分けしてお揃いのTシャツを着て参加するのが決まりになっています。
 
イベント中、それ以外のお金はかかりません。
 
宿泊の場合は大人3000円、子ども1500円になります。
 

•いけまぜでの息子の様子

当時、我が家はちょっとした外出も難しく、すぐ泣いてしまう息子に周囲の目を気にしてばかりいました。
 
知り合いに勧められて参加を決めたいけまぜでしたが、正直、慣れない環境に息子が耐えられるのかということばかりが心配でした。
 
たまたま歩いていけるくらいの距離でイベントが開催されたことが、「ちょっと行ってみようか」と思えた理由です。
 
イベント開催時期も、夏休み。
 
真夏の暑さも心配でしたが、ダメならすぐ帰ればいいやと思って参加しました。
 
しかし、実際に行ってみると、外出先では1時間と持たなかった息子が、お昼過ぎから夜の花火が終わるまで、ずっと泣かずに過ごすことが出来たのです。
 
息子にとって、それだけ興味の湧くものが多く、楽しめる場所だったのだと思います。
 
当時2歳半の下の子も連れての参加でしたが、ボランティアさんのおかげで私自身もゆっくりと楽しむことができました。
 
周囲もみな、障害に理解のある人たちばかりで、周囲の目を気にする必要もなく、本当に温かい空間でした。
 
最後に大きく打ち上がった花火と、それを見つめ、彼なりに何かを感じていた息子の目は、今でも大きな感動として心に残っています。
 
障害があっても自分らしく生きる子どもたちの未来や、それを支える多くの人たちの存在を初めて身近に認識できた体験でした。
 

•いけまぜの理念

以下に、いけまぜの理念を引用させていただきます。
 
もっと「外に出たい!」「何かしたい!」そんな思いをもちながら、 障がいがあるということだけで、 あきらめなければならないこどもたちが数多くいます。 彼らが自由に飛び出していける社会を創るためには、 何が一番大切だと思いますか? それはスロープでもなく、エレベーターでもなく、 「人が理解すること」だと私たちは思っています。 彼らが私たちと同じ感情をもち、同じように楽しいことを楽しんで、 生きたいと思っている、と真に理解すること。 そして、たとえ歩けなくても、話せなくても、 彼らにもたくさんの能力があるということ。 それらを社会一般の人が理解することで、 彼らの「真の障がい」をクリアすることができる、と私たちは思っています。 できるだけ多くの人が、彼らと接する機会をつくり、 それらを確実に認識することができたら、 そして、彼らとの時間を共有し、互いに認め合えたら、 また、その時間を自分自身の糧にすることができたら、と思います。 そんな「いけまぜ」の世界は誰もが少しずつ助け合って生きる、優しい社会。
そんな時代が早く来ることを願って・・
 

◯その他の障害児向けイベント

今回紹介した「いけまぜ」は、北海道内のイベントですが、障害児のためのイベントは全国で開催されています。
 
そしてそういった福祉の世界の温かい広がりは、30年前より20年前、10年前と、どんどん広がってきています。
 
障害児やその家族のためのNPO法人も、毎年増えてきているでしょう。
 
障害児やその家族にとって、どんどん生きやすい時代になってきているのです。
 
どうかお子さんの障害に悲観すぎることなく、そういった温かい世界にも目を向けてみてください。
 
一歩踏み出せば、見える世界が一気に変わることもあります。
 
我が家が体験した障害児向けイベントは、他にも以下のようなものがあります。
 
  • 夜の動物園
  • ピエロショー
  • デイサービスでのイベント
夜の動物園では、ボランティアさんのサポートのもと、夜の動物園を家族で回ることができます。
 
周囲の目を気にせずに、ゆっくり外出できます。
 
イベントのお知らせは養護学校経由で届き、無料で参加できました。
 
養護学校経由でお知らせがきたイベントでは、ピエロのショーなどもありました。
 
こういった劇などのイベントは、たいてい無料や低価格で観ることができます。
 
普段は静かに見なければならないショーでも、障害児向けなら静かにすることを気にする必要はありません。
 
また、デイサービスや療育施設でも夏祭りなどのイベントを開催していることもあります。
 
身近なイベントなので、気軽に参加することができるでしょう。
 
その他、養護学校の学校祭なども地域に開放している場合もあり、自由に参加できます。
 
親の会などでも、節分やクリスマス会など、様々なイベントを開催しています。

まとめ

障害児向けのこうしたイベントは、親がアンテナを張っていなければ、なかなか見つけることは難しいかもしれません。
 
しかし、ちょっとしたきっかけで参加してみると、身近に温かい世界があったことに気づくでしょう。
 
お子さんに障害があり、出来ないことばかりで悲しんでいる方も、出来ない、難しいと決めつける前に、少しだけ勇気を出して、こういったイベントにも参加してみてほしいです。
 
障害児に愛を向け、温かいサポートをしてくれる人は、意外と沢山いるのです。
 
そういった人たちの愛に触れ、障害のあるお子さんと一緒に生きることに悲観しすぎないで欲しいのです。
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