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「私たちは子どもに何ができるのかー非認知能力を育み、格差に挑む」の概要と思うこと

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こんにちは。重度障害児の母、たんぽぽ母ちゃんです。

みなさんは、この本をご存知でしょうか?

私たちは子どもに何ができるのかー非認知能力を育み、格差に挑」ポール・タフ 著 高山真由美 訳

この本は、貧困や虐待、家庭での愛情不足など、様々な環境下で育った子どもに対し、どうアプローチしていけば、より良い人生を送ることが出来るのかについて書いたものです。

今回は、「私たちは子どもに何ができるのかー非認知能力を育み、格差に挑む」の本の概要と、そこから私が考えたことを書いていきます。

この記事の内容は、本の文章から完全に引用したものではなく、私の言葉で分かりやすいようにまとめたものです。

「私たちは子どもに何ができるのかー非認知能力を育み、格差に挑む」の概要と思うこと

本の概要

この本で書かれていることは、簡単に言うと、貧困や虐待など、ストレス環境下で育った子どもたちに、どのような教育をしていくべきか、という問題です。

ストレス環境下で育った子どもたちが、その不幸のループに陥らないために必要なこと、具体的教育方法を、研究データに基づき提示した本です。

本の内容

まず、ストレス環境下で育った子どもに必要なものは、非認知能力だと書かれています。

非認知能力とは、学習を粘り強く取り組む力や、ストレスをうまく処理する能力、人間関係を築く能力など、性格の強みとも言える能力のことです。

この性格の強みがあると、学校でもより自主性を持って学習に取り組むことができ、よりよい人生を送ることができる、という話です。

◯愛着と非認知能力

親との愛着形成は3歳までになされるとされ、そこで人間関係の基礎となる、「心の安定」が生まれます。

愛着によって
人間関係を作る能力、絶対的な安心感と自信が生まれ
↓次に
ストレス管理能力、自制心が育ちます。
↓これが育ったのち、
集中力、好奇心、粘り、学習への意欲が育ちます。

それが3歳までにストレスのある環境で育つと、世界は急な変化や不安に満ちたものと捉えるようになります。

具体的には、以下の問題が起きます。

•学校では目の前のことに集中出来ず、勉強も遅れがちになる
•将来の人生にも、人間関係やストレス処理に困難を抱えがちにな

◯愛着が未形成の場合の解決法

学校における問題行動を起こす子供は、愛着などの正常な発達がストレスにより阻害され、心が育っていないために問題を起こす場合も多くあります。

その場合、問題行動を罰するのではなく、心が育っているかどうかに注目してみる必要があります。

愛着がうまく形成されずに育った子の場合、まずは心の土台を作る愛情のあるやり取りをすることが重要です。

これにより、帰属意識(ここが自分の居場所で、ここに居て良いという感覚)、安全、安定のメッセージ、を子どもに送ることができます。

思いやりと敬意を持って関心を向け、自分の成功を信じてくれる大人がいれば、子どもは心の土台を作ることができ、学習に興味を持って粘り強く取り組めるようになっていきます。

◯失敗の捉え方

愛着形成に問題のある子どもの場合、失敗への不安が大きいです。

失敗が自分へのマイナスの意味での価値や評価ではなく、失敗は何かを学ぶチャンスであると伝えることには大きな意味があります

失敗からすぐに立ち直る力」があるかどうかが、学習に大きな差を生むのです。

◯学業へのマインドセット(心のありかた)

学習へ意欲的に取り組むためには、子どもが以下のように感じている必要があります。

①私はこの学校に所属している
②私の能力は努力によって伸びる
③私はこれを成功させることができる
④この勉強は私にとって価値がある

この信念があれば、挫折や失敗を乗り越えられます。

幼少期の有害なストレスは、子どもの心に大きく影響します。

ストレス環境下で育った子の場合、過敏な闘争•逃走反応がある場合が多いでしょう。

また、ストレス環境下で育った子どもは、世界の受け止め方にも影響を受け、以下のように受け止めてしまいます。

•ここは敵地だ。警戒せよという警告
•挫折時に自分を責める
•他人の行動は敵意と偏見の現れと捉える
•良いこともどうせ長続きしないと考える

また、態度としては以下のようになる子がいます。

•内にこもって自分を守ろうとする子
•外部への攻撃性という殻で自分を守る子

そういった子たちは、積極的に学習に参加することはできなくなってしまいます。

情熱や反応も抑え込み、思い切ってやってみる、ということもできません。

思い切ってやってみなければ、学ぶことも出来ません。

これを改善するためには、学校や友達など、人間関係において歓迎され、価値を認められ、安心してここにいて良いと思えることが必要です。

教師との関係であれば、生徒に対し期待を寄せていること、そして、その期待に応えてくれることを確信していると伝え、その子のマインドセットを改善していく必要があります。

◯内発的動機付けの重要性

また、ストレス環境下で育った子どもたちが積極的に学習に取り組むためには、内発的動機付けが重要です。

•外発的動機付け(テストの点が良かったらお小遣いをもらえるなど、褒美による動機)
•内発的動機付け(自分の興味や、内からのやる気による動機)特に「自立性」「有能感」「関係性」が重要。

◯具体的な学習の改善策

具体的には、以下のような学習が効果的です。

•全生徒が参加するグループ討論や、全体討論を行う
•評価はなるべく生徒自身が行う(点数ではなく、何を学んだか)

子供たちにもっと自信を持ちなさいとか、知的な胆力を持ちなさいと話すだけで〝性格を教える〟ことはできません。

子供たちが性格を学びとるには、サポートを受けながら、思いきってやってみることを継続的に強いられる必要があります。

討論などの主体的な学習への参加は、生徒たちは最初は緊張したり、わめいたり、助けを求めたりします。

しかし、やがて自信がついて、自分でやるようになります。

そういうチャンスが性格をつくりあげるのです。

•学習での重要な点
子どもが学習をする上で、自分は重要でやりがいのある活動をしているのだと思うことが重要です。

知的な課題に粘り強く取り組み、苦労しながらやりとげる経験は、生徒たちに幼少期の温かいやりとりと同程度の深度で影響を与えます。

そして「有能感」と「自律性」というふたつの感情を生みだし、生徒のマインドを変えていくのです。

◯これからの時代の教育に必要なこと

これまでの教育の歴史的背景
教育手法が確立した一世紀以上前には、経済の側面から見た公立学校の役割は、事務仕事やくり返しの多い機械的な仕事をすばやくきちんとこなせる工場労働者を生みだすことだった。

現代社会において必要な能力
チームで仕事をする能力、人前でアイデアを提示する能力、効果的な文章を書く能力、深い分析思考をする能力、ある状況で覚えた情報やテクニックを見知らぬ新しい問題や状況に対して応用できる能力など

現代の社会において必要な能力を育てるためには、練習の機会が必要になります。

◯ディーパーラーニング型の学習法

現代社会において必要な能力を育てるための具体的学習法は、ディーパーラーニングという形態の学習が有効です。

〈ディーパーラーニング〉

探求型…生徒に講義させる
プロジェクト型…グループで仕上がりに何週間もかかる複雑な課題に取り組む
実績重視の評価…点数ではなく、実績やプレゼンテーション、文章、芸術作品で評価する

さらに、興味に従って学ぶという点に重きを置いた学習を取り入れている学校もあります。

例えば、勉強する科目も自由に選べるというもの。
「人生を豊かにするコース」…ダンスやテコンドー、ロボット工学など

こういった学習法は富裕層や学習が進んだ学校で一部行われているものです。

しかし、ストレス環境下で育った子ども達にこそ、こういった教育が必要だと本書では述べられています。

◯教育の変革のためには

教育を変えていくためには、以下の三点が必要だと述べられています。

•社会政策の必要性
•いち教師たち(教育者)が意識を変え、行動を起こすこと
•私たち一人一人が、身近な所から、自身の認識を変えれば子どもも変わると認識し、行動すること

社会政策を変えていくことはすぐにはできませんが、個人(学校の先生や周りの大人)の意識を変えることは、今日明日にもできます。

個人の意識が変わっていくことで、社会が変わっていくでしょう。

子ども時代の逆境は、たとえ完全に払拭出来なくとも、乗り越えることができる、というのがこの本の結論です。

本書を読んで

◯本書の要約

本書のポイントを要約すると、

•ストレス環境下で育った子どもも、周りの大人が愛情を持って接し、まずは心の土台を作ること。
•子どもの可能性を信じて認め、それを伝え続けること。

が重要なのだと感じました。

教育法に関しては様々研究も進んでいますが、学習法を以下のように変えることで、落ちこぼれとなる子を救うことになるようです。

・全体への講義や点数での比較や評価をやめる
・子どもが興味を持って主体的に取り組める授業を行う
・子ども自身、それぞれが何を学んだか、に対しての評価をする

また、子どもの周囲の大人が、それぞれ意識を変える必要があり、

どんな子でも環境によって変わっていくことができると信じるこが必要で、

家庭だけ、学校だけを変えるのではなく、家庭や学校、子供を取り巻く環境、全体の、包括的な支援やサポートが必要なのだと感じました。

◯本書の感想

本自体は、翻訳本という所もあり、正直読みやすい本、という感じではありませんでした。

ただ教育関係者や問題のある子どもと関わる仕事をしている方には問題のあるお子さんとの関わり方へのヒントとなる本だと思います。

この本では様々な研究から、このやり方では何パーセントの生徒に改善が見られた、などの具体的な数字として、効果があった学習法などを紹介しています。

それら研究データは、教師が今までのやり方を変え、実際に新しい方法を取り入れてみようと思うに値するものでしょう。

また本書では、教育者の、「あなたを認めているよ、信じているよ」という小さなメッセージも、子どもにとっては大きな影響を与えられることもある、と伝えています。

社会政策や教育の仕組みが変わらずとも、大人の日々の愛情や関わりによって、子どもは変わっていける、と信じることができるでしょう。

◯母親としての観点から

筆者の場合、第一子に重度障害があり、そのために私自身が精神的に不安定な状態が続き、第二子の兄弟児に十分な愛情をかけられなかったという自覚と不安がありました。

しかし、本書を読んで、

例え幼少期に大きなストレスがあったとしても、これから先、しっかり子どもに愛情と信頼を伝えていくことで、子ども自身が乗り越えられる、と信じること

が重要なのだと感じました。

人間にとって心の基礎となる、愛着の形成に重要な時期は3歳までですが、もしかしたらその時期に愛情が足りなかったな、と思う方もいらっしゃるかもしれません。

または両親のケンカを見せてしまったり、離婚や再婚、うちのように母親に何かショックな出来事があり、育児に集中出来ないこともあるかもしれません。

しかし、過ぎてしまった過去はどう足掻いても変えることはできません。

大切なのは、今からでも愛情を持ってお子さんと接していくことす。

そうすれば、お子さん自身が考え、自身の成長により、逆境を乗り越えていけるのだと思います。

お子さんに愛情が足りないな、と思う方は、まずは自分自身の心に、未消化の悲しみがないか、考えてみて下さい。

お母さんの心の安定は、お子さんにも大きな影響を与えるものです

もしも私のように、お子さんの障害など、何かの悲しみから抜け出せずに苦しい、と感じている方は、こちらの記事も読んでみて下さいね。

>>>我が子の障害を受け入れるまでにかかる年数は?〜「悲しみの5段階」とは〜

>>>愛着障害とは?〜兄弟児に必要なケアは〜

 

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