こんにちは、たんぽぽ母ちゃんです。
今、新しい試みをしようかと考えています。
それは、体験談を探せる新たなプラットフォームとして、YouTubeチャンネルを作ってみようということ。
理由として、障害児をもつ親を少しでも助けられたら、という思いがあります。
これまでにも、カウンセリング資格をとり、自分でカウンセリングをしようかと思ったこともありますが、それで救える方はほんの数人です。
もっと多くの方に届けるには、体験談がいいのかもしれない……と思ったのです。
心理学の勉強をしていて、同じような体験をした人の話には癒しの効果があることを知りました。同じ体験をした人と話をすることをピアカウンセリング(ピア=仲間)といい、実際のカウンセリング現場でも用いられているのでだそうです。
ピアカウンセリングの効果は、体験談を読むことでも得られれます。
障害児の親はときに疎外感や孤独感に苦しみますが、体験談を読むことで「ひとりじゃない」と感じられるのです。
実際に、わたしも息子の病気が発覚した当時、体験談を必死に探して同じような方を探していました。息子が養護学校に入り、周囲が同じような状況の方ばかりになったときには、なんとなくホッとしたのを覚えています。
同じような体験をされた方の体験談は、勇気をもらえます。
……自分もがんばってみよう。
……こう考えればいいんだ。
そんな気づきが得られることもあります。
ネット上にはそれぞれ体験談を公開されている人がいますが、より探しやすいYouTubeで、多くの方の体験談を公開していけたらと思っています。
まずは、わたし自身の経験から。
動画の内容は、以下にも載せておきます。
今回ご紹介するのは、重度の心身障害がある息子の、病気がわかってから現在までの体験談です。
このお話を公開することで、同じような苦しみを経験されて苦しんでいる方の力になればと思っています。
ハヤトは、わたしの初めての子どもでした。
妊娠中はとくに問題なく、出産もトラブルなく無事に産まれました。
初めての育児は大変でしたが、温かく小さな「命」に毎日感動していました。
異変が起きたのは、ハヤトが生後2か月を迎えようとするころでした。
メリーの下で遊んでいたハヤトが、急におかしな動きをしだしたのです。
手を横につっぱり、目はそちらをにらむように見つめ、びくんびくんと不思議な動きをするのです。
呼びかけても、一点を見つめたままで反応はありません。
わたしの心臓はいままで経験したことがないほど高鳴り、不安で手が震えていました。
その後、急いで救急病院にかかり、脳のCT検査をすることになりました。
CT検査が終わると、医師から説明があるとのことで、個室に通されました。
そこで見たCT画像の衝撃は、いまだに忘れることができません。
脳の片側をほとんど埋め尽くすように、黒い影が映っていました。
私は直感的に、「ああ、この子はもう、これから普通に生きていくことはできないんだ」と思いました。
あまりのショックに、手は震え、口の中はカラカラで、吐き気がしました。
脳の黒い塊は、結節性硬化症という病気からくる、生まれつきの脳腫瘍でした。
さらに、いくつも検査を重ねた結果、ハヤトの不思議な動きは「てんかん」だとわかりました。
それも、難治性で、知的にも影響がでるというウエスト症候群という病気です。
治療法のない難病のため、なすすべはありませんでした。
それでも、受け入れられない気持ちから「いつかよくなるかもしれない」と根拠なく信じていました。
ハヤトの病状はわたしの期待とは裏腹に、よくなることはありませんでした。
知的には最重度。目が合うことも、笑い返してくれることもありません。
とにかく泣いてばかりで、泣き止ますことに必死の毎日でした。
わたしはただただ、ハヤトのために毎日を必死で生きていました。
病気発覚から数年たっても、道を歩くランドセルを背負った「普通の子ども」を見るだけで涙が出ました。
未来に希望はなく、ただ、ただ、苦しい育児でした。
あれから10年、ハヤトもそれなりに大きくなりました。
一生寝たきりを覚悟していましたが、4歳にはお座りもできるようになりました。
発語はありませんが、今ではなんとなく何を考えているかもわかります。
養護学校に入ると手を離れる時間も増え、ハヤトのことで思い悩む時間も減りました。
いまではハヤトの障害を受け入れ、ハヤトとの生活は特別なものではなく「日常」となっています。
苦しみと大きな不安を感じていた当時の気持ちは、今も忘れることはありません。
しかし、時間とともに薄れていくものなのだと気づくことができました。
重度障害児との生活は不便もありますが、いろいろな方に助けられながら暮らしています。
ハヤトを通してさまざまなつながりもでき、楽しいと思える出来事も増えました。
ハヤトがもし健康に生まれたら……そう思わない日はありません。
でも、今のハヤトだったからこそ気づけたことがあります。
周囲の人たちがこんなにも優しいこと。
健康に、「普通」に生きられることがどれだけ幸せかということ。
「普通」が当たり前の生活では、今ごろ、もっとくだらないことに頭を悩ませていただろうと思います。
今、お子さんの病気で苦しんでいる方に伝えたいのは、がんばりすぎないでほしいということ。
障害児の親を、子どもの障害を受け入れられる「選ばれた人」とする考えもありますが、ほとんどの親が「普通の人」です。
子どもの障害や病気は、その程度に関係なく「子どもの死」に相当するショックを受けます。
そんな苦しみのなか、普通に家事や育児をこなしていくだけでも、どれだけすごいことか気づいてください。
わたしはこの10年を通し、自分ががんばりすぎていたことに気づきました。
自分を犠牲にする生き方では、家族の幸せにはたどり着けなかったのです。
どうか、罪悪感を持たずに人の手に頼ってください。
子どもの人生だけでなく、自分の人生も大切にしてください。
お母さんの笑顔だけが、子どもや家族の幸せにつながっているのです。
この話を通して、「ひとりじゃないんだ」と思っていただける方が一人でもいれば幸いです。
苦しみを乗り越えることは簡単ではありませんが、どうか、ひとりでがんばりすぎないでくださいね。
あなたとお子さんの、幸せを祈っています。
2022年5月
しょうじ あいか
もしも体験談をご提供くださる方がいましたら、ぜひブログやSNSからご連絡ください。
あなたの経験が、多くの方の勇気になります。
また、誰かの役に立つことは、自分自身の幸せにつながっています。
わたしも、過去の自分自身を救う気持ちで、できることを模索していきます。ぜひ一緒に、一歩踏み出してみませんか?
追記:
こちらのブログでも体験談を見られるよう、以下のページに体験談ページを作りました。よかったら見てみてください。