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こんにちは。重度障害児の母、たんぽぽ母ちゃんです。
障害児のいるご家庭では、
「障害児がいる事で、 兄弟や家族に精神的に悪い影響が出るのではないか?」
と思う方もいるのではないでしょうか?
しかし、本当に悪い影響が出るのは、 家族に障害児がいることではなく、 母親が不幸であることだと思うのです。
今回の記事では、 家庭において母親が不幸であることの家族への影響について書いて いきます。
障害児がいることの、兄弟や夫への影響(→母親が不幸でいることの影響)
◯母親が不幸でいるという状態
まず、母親が不幸な状態とは具体的にどういう状態なのかを考えてみます。
我が子に障害を宣告された母親の状態
我が子に障害を宣告された母親は、 我が子の死にも相当するショックを受けます。
それは簡単に立ち直れるものではなく、 心の回復にはかなりの時間を要します。
人は立ち直れないほどのショックを受けた場合、 具体的に以下のような状態になります。
- エネルギーがなくなる
- 自分のことでいっぱい。他人の気持ちに鈍感になる
- 知らず知らず、他人にエネルギーを求める
①エネルギーがなくなる
あまりのショックを受けると、人はその事以外考えられなくなり、 何をするエネルギーも無くなってしまいます。
鬱は、 日常生活において何もするエネルギーが無くなってしまった状態で すが、 実際にショックによって鬱になってしまう方もいらっしゃいます。
逆に早く立ち直ろうと、表面上は元気に見える人もいます。
そういう場合はもっと危険で、頑張りすぎて、 早く立ち直ろうと感情を感じないようにした結果、 どこかで限界がきて、 プチっと心の糸が切れ、精神が壊れてしまう場合もあります。
②自分のことでいっぱい。他人の気持ちに鈍感になる
自分の心の奥にある悲しみに向き合わずに頑張っている場合、 自分の感情に鈍感になってしまいます。
あなたの心のコップには、悲しみがいっぱいで溢れそうなのに、 それを見ないフリをしている状態です。
自分の感情に鈍感になると、 本当は悲しかったり苦しかったりするのに、 自分でもそれに気付かないこともあります。
心のコップがいっぱいで、心に余裕のない時には、 他人の気持ちにも鈍感になります。
あなたが我が子の障害という悲しみで心がいっぱいの時に、旦那さんや、おじいちゃんおばあちゃん、 兄弟など自分以外の人の気持ちに目を向けられましたか?
または他人からの何気ない言葉に傷ついたと感じたとき、言った相手の気持ちに寄り添うことができたでしょうか?
自分が不幸でいっぱいいっぱいな時には、 他人の気持ちを考える余裕も無くなってしまうものなのです。
自分が誰かや何かによって不幸になっている、つまり「自分は被害者だ」と感じている時には、ついつい他人を責めてしまいがちになります。
またそれは自分に近しい人ほど感情を向けやすくなります。
例えば、同じようにお子さんの障害を悲しんでいるはずの旦那さんに対して、
「どうして分かってくれないの?」
「どうしてそんな言葉を言うの?」
と責めてしまったことはないでしょうか?
お腹を痛めて子供を産んだわけではない父親といえども、我が子の障害に対して何も感じない人はいません。
旦那さんが分かってくれないように感じるのも、本当の意味で相手の立場に立って物事を見られていないことが原因かもしれません。
他人を責めることよりも、まずは自分の気持ちと向き合うことが大切です。
③知らず知らず、他人にエネルギーを求める
エネルギーがない状態の人は、 知らず知らずに他人にエネルギーを求めるようになります。
具体的には、
「私がこんなに頑張っていることを分かって!認めて!」
と心が求め、実際に口に出さなくとも、知らず知らずのうちに、 他人に対して
分かって!認めて!という態度
に出るようになります。
これは、人から自分の頑張りや不幸を認めてもらうことで、 エネルギーをもらおうとする状態です。
母親がいつも、分かって!認めて!という態度でいたら、 家族や周りの人も、エネルギーを吸い取られて疲れてしまいます。
あなた自身も、周りに
「私ってこんなに大変でこんなに不幸なの、分かって~。」
と毎回言ってくる人がいたら、うんざりして疲れてしまうと思いませんか?
他人であれば「めんどくさい人だな」と思う所も、自分自身が不幸の渦中にいると、なかなかその状態に気が付けないものです。
先ほどの、旦那さんに対する「どうして分かってくれないの?」という気持ちも同様です。
相手に自分の気持ちを分かってもらう事を優先させ、他人に認めてもらうことでエネルギーをもらおうとしています。
そのため、他人の気持ちは後回しになってしまうのです。
注意していただきたいのは、このこと自体が悪いと言っているのではないのです。
誰でも、知らず知らずに被害者意識に飲まれてしまうことはあります。
過去に他人に対して気持ちをないがしろにする行為をしてしまったとしても、後悔する必要はありません。
あなたはそれだけショックを受け、受け止めきれない悲しみでいっぱいになってしまったのです。
大切なことは、あなたの悲しみの部分に焦点を当て、隠さずにしっかり向き合って消化していくことです。
被害者意識から抜け出せた時、あなたが今旦那さんや他の人から感じている理不尽な言葉や態度は、実はなんでもなかったことに気づくでしょう。
◯兄弟児への影響
障害児が生まれた場合、すでに上にいた兄弟児にとっても、 待ちに待った兄弟が障害児ということに大きなショックを受けます 。
しかし、子どもの場合は両親のショックに比べると、 まだ立ち直りの早いものです。
それよりも悪い影響が出るのは、 母親がいつまでも悲しみから立ち直ることが出来ず、 不幸でいることです。
子どもにとってはお母さんの笑顔が1番の幸せですから、 自分の力ではどうしようもできない母親の不幸に、自信を無くし、 大きな不安を覚えるでしょう。
逆の立場で考えてみて下さい。
あなたがお子さんに望む、1番の幸せを考えた時に、 それはお子さんが笑顔で幸せでいることではないですか?
お子さんにとって、母親が悲しむ姿、 精神が不安定な状態であることが、1番悪影響のある、 不安な要素なのです。
母親がきょうだい児に安定した愛情を向けてあげられない状態は、きょうだい児の心に様々な影響を及ぼします。
詳しくはこちらの記事で説明しています。
◯夫への影響
障害児に対する夫婦の意見の相違
我が子が障害児であることに、 ご主人もまたショックを受けているでしょう。
しかし、ご主人があなたと全く同じように悲しむとは限りません。
もしかしたらご主人との間に、 その温度差を感じるかもしれません。
男性は女性と比べて理論的に考える場合も多いものです。
「悲しんでもどうしようもない、泣くな。」(実際に私が主人から言われた言葉です。)
なんて言われると、女性としては自分の気持ちを否定されているように感じてしまいますよね。
しかし、会話に共感を求める女性と違い、男性は会話に結論を求める生き物なので、この言葉を言ったからと言って、旦那さんが悲しんでいないというわけではないのです。
私も息子の障害が発覚した当時は、こういった主人からの何気ない言葉にいつも傷ついていました。
今思うと、彼もまた辛さから立ち直ろうと、必死で私を励まそうとしていたのだと思います。
被害者意識でいっぱいの当時はそれに気づけませんでした。
また、女性の場合は十月十日、 お腹の中にいる時から母性を培っていきますが、 男性の場合は生まれてからのお子さんとの関わりの中で父性を獲得 していく場合も多いでしょう。
そんな中、感覚の相違があるのは当然です。
障害児の場合、母親とくらべ父親のほうが、 お子さんの受け入れが難しいかもしれません。
なかなか我が子を可愛いとは思えず、苦しんでいる父親も多いのではないでしょうか。
私も当時、主人にもっと息子を可愛がることを求めていました。
目も合わず反応もない息子でしたが、他の子と同じように抱っこして父親らしく声をかけて欲しかったのです。
しかし、あとから振り返ってみると、それは私自身が必死に良い親であろうとしていた理想を主人にも押し付けていただけでした。
本心では私自身も反応のない息子を可愛いとは思えず、自分の理想を通すために必死で自分の本心を隠していただけでした。
当時の私には、障害のある子どもだからといって、育児放棄するような母親は悪であるという思い込みがありました。
しかし、子どもの障害を受け入れて心の底から可愛いがるということは、思った以上に難しいことでした。
理想通りにはならない自分の弱さも認めることができれば、他人や主人に理想を求めることもなく、自分自身ももっと楽に生きれたと思います。
自分の本心を認めず、相手に理想を押し付けること、これにより、多くの障害児を抱えた夫婦が、 問題を抱えることになるのです。
男性には男性の苦しみがあり、父親は父親なりに乗り越えていくしかありません。
それをコントロールしたり、こちらの思い通りにするなんてことはできないのです。
あなたが自分のことでいっぱいいっぱいになってしまうように、旦那さんもまた悲しみを乗り越えられずにいる状況では、なかなかあなたの気持ちに寄り添い続けることは難しいと思います。
あなた自身も、旦那さんの気持ちに寄り添えているかどうか、考えてみてください。
夫婦関係では思いやりが大切です。
あなたの中に、こんな気持ちはありませんか?
「子どものため、あなたのためにこんなに努力しているのに。(犠牲になっているのに)」
こう思うのは、あなたの出した愛情に見返りを求めている状態です。
見返りを求める愛情では、相手をコントロールすることはできないと理解しましょう。
見返りを求めない思いやりで、共に悲しみを乗り越えていくという姿勢でいられると良いですね。
妻が不幸であることの夫への影響
家庭を持つほとんどの男性は、 妻に幸せになって欲しいと願うものです。
それが子どもの障害のせいとは言え、 いつまでも妻が不幸であったらどんな気持ちでしょう。
慰めの言葉をかけてもかけても、妻が不幸であったら、 自分には何も出来ない、と自信を失ってしまうかもしれませんね。
また、いつまでも立ち直ってくれないあなたに逆に怒りをぶつけてしまう場合もあるでしょう。
そんな時あなたは、
「やっぱり分かってくれない」
と思うでしょうか?
大切なのは、 ご主人も同じようにショックを受けているということと、 その程度は比べられるものではないと分かっておくことです。
多くの方は、
「主人より私のほうがずっと辛い」
と思ってしまうのではないでしょうか?
ショックが大きいほど、自分自身の辛さばかりに目がいき、 ご主人や兄弟の辛さにまで思いがいたらないものです。
そして、私の気持ちを分かって!認めて!と、 自分の気持ちや辛さを理解することを最優先で求めてしまうのです 。
あなたがいつまでも不幸でいるほど、 関係を悪化させていくことは想像がつきますよね。
不幸から立ち直る方法
では、 どのようにして不幸から立ち直っていけば良いのでしょうか。
その方法は、以下の3つです。
- 自分の中の悲しみ、弱さを認める
- 思い込みを手放す
- 自分を大切にする
①自分の中の悲しみ、弱さを認める
まずは自分の中の悲しみや負の感情を否定せず、 きちんと向き合うことです。
これをしないで前に進もうとしても、あなたの中の
「 なんで私ばっかり」
「障害児なんて」
というマイナスな気持ちは、 いつまでも残ってしまうでしょう。
受け入れられなくて当たり前、悲しい、辛い、そんな中で当たり前に家事育児なんてできない!と、自分の弱さを認め、負の感情を隠さずに消化できるまで日々向き合いましょう。
悲しみを受け入れる方法についてはこちらの記事にも書いていますので、 参考にしてみてください。
②思い込みを手放す
それから、思い込みや価値観を手放していくことでも、 気持ちが楽になれます。
あなたは、障害児を育てることになった人生は不幸だ、 と思い込んでいませんか?
また、
夫は自分と同じように悲しむべきだ
病気があっても可愛がるべきだ
など、さまざまな思い込みや、間違った価値観によって、 自分自身で苦しくなっていませんか?
人は大人になる過程で、人たるものこうあるべき、 という価値観を、家庭や学校、 テレビや本などから刷り込まれます。
価値観を選択するのは自分自身であると気づいた時、 自分を苦しめている価値観を手放すことができますよ。
③自分を大切にする
不幸から抜け出し、幸せな状態になるには、自分を大切にすることが大切です。
良い母であろう、良い妻であろうと頑張りすぎるほど、 犠牲的になってしまいます。
犠牲的な生き方をしていると、心の奥底には、 あなたがガマンをしたぶん、
「なんで私ばっかり」
という不幸な気持ちが溜まっていくのです。
自分が思うように、好きなものを食べ、好きなことをして、 好きなように休んだら、もっと幸せになれると思いませんか?
罪悪感を持たずに、好きなことをして、自然に触れて、 好きな人と話して、自分を癒すことに集中しましょう。
人との会話を通して前向きになる方法については、 こちらの記事にも書いています。
まとめ
母親、妻が不幸であることは、家族を不幸にします。
多くの方が家族のためにと頑張り、犠牲的になるほど、 気付かないうちに自分も家族も不幸にしてしまっています 。
障害児を抱えた母親の場合は悲しみを隠して頑張りすぎる方が多いため、「なんで私ばかり」 という気持ちはさらに強くなってしまうでしょう。
大切なのは、障害児を立派に育てることではなく、 あなた自身がしっかり悲しみを癒しながら、 自分自身を幸せにする努力をすることです。
家族にとって、1番の柱でエネルギーの源になるのが母親です。
あなたの他のお子さんも、ご主人も、 1番の願いはあなたが幸せに笑ってくれることだと、 忘れないでいてほしいです。
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