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こんにちは。重度障害児の母、たんぽぽ母ちゃんです。
障害のあるお子さんをお持ちの方や、デイサービスなどの療育・福祉施設で働かれている方は、「スヌーズレン」という言葉はご存知でしょうか。
スヌーズレンは簡単に言うと、障害のある人がリラックスできる空間のことです。
日本でもだいぶ認知され、各施設でも取り入れられるようになってきましたが、まだまだその認識はあいまいなようです。
重度障害のあるうちの息子も、あるきっかけでスヌーズレンを知ってからは、スヌーズレン的空間だけでなく、その考えは彼の生活になくてはならないものになりました。
生活にスヌーズレンやスヌーズレン的考えを取り入れることで、障害者は気持ちが開放されリラックスして過ごすことができます。
今回は、うちの子も大好きな、スヌーズレンとは何か? について書いていきます。
スヌーズレンとは?
スヌーズレンとは、簡単に言うと、重度障害児(者) の安らぎの体験の場です。
1970年代にオランダにある知的障害を持つ方々の施設で生まれ 、発展してきました。
日本では近年、学校や病院、各施設で、 スヌーズレンの部屋としてだんだんと取り入れられるようになって きました。
しかし本来スヌーズレンは特別な部屋で行うことだけを指すのでは なく、生活全体に取り入れられるものだそうです。
その中では、重い知的障害を持つ方々が活動の主役になり、 リラックスして周囲に気づいたり、 探索したりしやすいように環境を整備し、 様々な感覚刺激の提供をしていきます。
◯スヌーズレンの語源
「スヌーズレン」という言葉は、オランダ語の「スヌッフレン( くんくん匂いを嗅ぐ、という意味。」と「ドゥーズレン( うとうとする、という意味。)」 という二つの言葉から創られた造語です。
◯スヌーズレンの効果
重度障害児(者)の場合、 外部からの刺激を過度に感じ取ってしまう場合も多いです。
障害のある人の多くが視覚や聴覚などの感覚に偏りがあり、過度に感じすぎてしまったり、逆に鈍感であったりします。
過敏性が強い場合、私たちが何気なく過ごしている生活音や照明や光、色なども、障害のある人にとっては苦痛な刺激となってしまいます。
そのため、日常の音や光、 景色などは障害のある人にとっては苦痛を感じるものも多く、普通に生活するだけでも 疲れるものです。
スヌーズレンでは、刺激を排除した、暗く落ち着いた空間の中で、 光や音などの心地良い感覚刺激を与えることで、 障害のある方が安心し、安らぎを感じる事ができます。
そして過敏性に苦しんでいる状態から開放され、初めて主体的に活動できるようになるのです。
◯スヌーズレンの実践方法
スヌーズレンでは、障害のある人にとって嫌な刺激を排除し、心地よい感覚刺激を提供します。
障害のある人にとって嫌な刺激となる音や光をなるべく排除するよう、スヌーズレンの空間では照明を暗くし、静かでリラックスできる空間を作ります。
そして障害を持つ方が感じ取りやすく楽しみやすいように、光や音、 いろいろな素材の触るもの、香りなどの刺激を揃えた環境を作ります。
具体的には、光ファイバーやプロジェクターなどを使用し、 プラネタリウムのようなリラックスできる環境を作ります。(障害のある方の多くがこういった光を出す装置を好みますが、必ず必要というわけではありません。)
その他、ボールプールやガーラント、触ると動くしかけ、感触の良いタオルやぬいぐるみ、様々なおもちゃなど、利用者が刺激として好きそうなものを用意しておきます。
障害のある人がリラックスして主体的に楽しむことが目的のため、押し付け的なものではなく、あくまでも様々な感覚刺激の環境だけを用意し、無理に遊ばせようとしたり、活動を促すことは必要ありません。
時には「何もしない」ということもあるでしょうが、それで問題ありません。
利用者が不安や取り乱す様子がなくリラックスしていれば、スヌーズレンとしての役割は成功と言えます。
環境の中から障害児(者)が自ら活動を選び取り、好きな活動を主体的にすることがスヌーズレンなのです。
◯スヌーズレンの体験談
うちの子が初めてスヌーズレンを体験したのは、4歳の時でした。
それまで息子は、 車の中と音楽のDVDをかけている時以外はとにかく泣いてばかり いる子でした。
外出するたびにどこへ行っても大泣きで、息子が生まれてからというもの外出もまともにできず、常に泣き止ませられないプレッシャーで、周囲の目を気にして過ごしていました。
抱っこしても何をしても泣き止まず、途方に暮れたものです。
ある時、帰省時に、重度障害者の施設で働く母のすすめで児童館に併設されたスヌーズレンの部屋を体験することになりました。
母も職場の利用者を連れてたまに来るそうで、わざわざ部屋の予約をしておいてくれました。
スヌーズレン部屋の様子
スヌーズレン部屋では、 薄暗い環境の中にヒーリングミュージックがかすかに流れ、さまざまな設備が置かれていました。
真ん中にはウォーターベッド
水と光の出る装置(バブルチューブ)
七色に光の変わる光ファイバーグラス
他にも、 壁にはプロジェクターで緩やかに映像が映し出されていたり、 ガーラントや触ると光るボタンなどの仕掛けやボールプールなど、様々なものがありました。
さっきまで泣いていた息子はリラックスし、すぐに泣き止みました。
息子はバブルチューブや光ファイバーの光が移り変わる様子をじっと見つめ、静かに落ち着いて過ごしました。
30分ほど過ごした後、 息子の顔は別人のようにリラックスした表情に変わっていました。
まるでお風呂上がりのようにリラックスした顔は、 今まで外出先で見た事がないものでした。
これまでどうにもならないと思っていた息子のグズグズが、たった30分のスヌーズレン体験で劇的に変化したのです。
これは我が家にとって、衝撃の体験でした。
それ以来、我が家でも光ファイバーやプロジェクターを使い、 簡単なスヌーズレン部屋を作っています。
子どもが泣き止まないときには、 魔法のように落ち着くので不思議です。
まとめ
スヌーズレンは、重度の障害のある方が、 安心してリラックスする環境を作るものです。
知的障害が重いほど、その効果は驚くほど大きいでしょう。
重度障害児(者)が安心して、主体的に感覚を楽しめるよう、 日常生活の中で工夫した環境作りをしていく事が、 スヌーズレンなのです。
ちなみに、上記の写真のような設備を設置するためには、専用の高額の器具を購入しなければなりません。(スヌーズレンショップ)
家庭や施設で簡単にスヌーズレンを取り入れたいという方は、下記の記事を参考にしてみて下さい。
我が家でも使っている、おすすめのスヌーズレングッズをご紹介しています。
また、なるべくお金をかけたくないという方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
スヌーズレンを作る際には、障害児の感覚の特異性についても理解しておくことが必要です。
お子さんが何が苦手で何が好きなのかをしっかり理解し、十分にリラックスできる空間を作ってあげてくださいね。
>>>【不安感を取り除く】スヌーズレンに入れるべき3つの要素【不安感を取り除く】スヌーズレンに入れるべき3つの要素
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