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障害児の感覚特性とは〜スヌーズレンの作り方と考え方〜

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こんにちは、重度障害児の母、たんぽぽ母ちゃんです。
 
これまで何度かスヌーズレンに関する記事をあげてきましたが、スヌーズレンを作る上で障害児の感覚特性についてを理解しておく必要があると思っています。
 
 
今回の記事では、障害児の感覚の特性と、スヌーズレンに応用する方法について、私の考えを書いていきます。

◯障害児の感覚特性

自閉症などの発達に偏りのあるお子さんでは、その感覚にも偏りがある場合が多いです。
 
例えば、特定の音や光が苦手、触られるのが苦手などの「苦手」な感覚はないでしょうか?
 
またずっと何かを叩いたり引っ掻いたり、ものを噛むなど、同じ行動を何度も繰り返すことはありませんか?
 
それはこの「感覚の偏り」が原因なのです。
 
感覚の偏りには、感覚が過敏になってしまう場合と、逆に鈍感になってしまう場合があります。
 
また障害児の場合、過敏性と鈍感さを複雑に併せ持つことが多いです。
 
そして過敏性が強い場合は苦手な刺激を避けようとし、鈍感な場合は逆により強い刺激を求めようとします。
 
  1. 感覚過敏→感覚回避を行う。刺激を避ける。
  2. 感覚鈍麻→感覚探求を行う。強い刺激を求める。
原因は中枢神経系の感覚処理の問題のようです。
 
過敏性が強い場合には、多動やパニック、自傷行為などを起こしやすくなります。
 
これは嫌な感覚がある時に、不安の伝え方が分からないことで起こってしまうものです。
 
感覚に偏りがある場合、常同行動(自己刺激行動)と呼ばれる行動が出やすくなります。
 
〈常同行動の例〉
  • 手をひらひらさせる
  • 飛び跳ねる
  • ぐるぐる回る
  • うろうろ歩く
  • 手をパチパチする
  • 爪を噛む
  • 頭を打ち付ける
  • 身体をゆらす
これは不安を紛らわせる自己調整行動であったり、感覚探求により、より強い刺激を求めようとする行為であったりします。
 
本人は感覚を楽しんでいる場合も多いので無理にやめさせる必要はありませんが、自分を傷つけたり他人に害を及ぼすようならやめさせたいですよね
 
こういった常同行動は、外部からの刺激のコントロールで軽減することができます
 
つまり、本人にとって嫌な刺激を減らし、感覚探究しやすい刺激は安全な方法で取り入れてあげると良いのです。
 

◯スヌーズレンでの応用

感覚の偏り方はその子その子によって異なります。
 
スヌーズレンを作ろうと思う場合、普段からそのお子さんの特性を理解してあげることが大切です。
 
光や音に敏感なお子さんでは、なるべくそういった刺激を減らします。
 
スヌーズレンでは様々な楽器を取り入れることも面白いのですが、その子が苦手とする音ではないことが条件になります。
 
 
例えば、デイサービスなどで数人でスヌーズレンを利用したとして、ある子が楽器をガンガン鳴らして、ある子は耳を塞いで嫌がっていたのでは元もこもありません。
 
スヌーズレンでは個別に特性を観察し、まずは苦手な刺激を排除してあげることがとても大切になります。
 

•感覚の種類

刺激を排除する上で、感覚の種類を理解しておくことも大切です。
 
人の持つ感覚には以下のようなものがあります。(右側:苦手な刺激となりやすいものなど)
 
  • 視覚…太陽光、テレビ、特定の色の組み合わせ人混みが苦手、+光の反射や回転するものをずっと見続ける
  • 聴覚…スピーカーの音、泣き声、突然の大きな音、騒々しい場所、生活音など
  • 嗅覚…特定の匂いが苦手、+なんでもかんでも匂いをかぐ
  • 味覚…特定の味や食感が苦手、同じものを食べ続ける、食材が混ざるのが苦手
  • 触覚…触られることが苦手、服の縫い目や素材が気になる、気に入ったものを触り続ける
  • 固有感覚…姿勢の維持ができない、力加減ができないなど
  • 平衡感覚…ブランコや遊具、エレベーターなどが苦手
  • 温度感覚…温かい、冷たいが苦手、逆に温度が分からず衣類の調節ができない
  • 痛感覚…痛みに敏感、逆に怪我をしても気づかないなど
固有感覚は聞き慣れない言葉ですが、簡単に言うと身体の位置や動きなど、力加減などに関する感覚のことです。
 
固有感覚につまずきがあると、細かい動きが苦手だったり、姿勢の維持ができなかったり、逆にずっと力が入ってしまったり、力加減が分からずに人を叩いてしまったりします。
 
お子さんの不安要素、苦手な感覚を見極めるためには、普段からお子さんの様子を観察し、どの刺激に対して過敏性があるのかを理解しておくことが重要です。
 
音や光に過敏性の強いお子さんであれば、スヌーズではなるべく強い光を遮断し、静かな空間で過ごせるようにしてあげます。
 
(個人的見解ですが、多くの障害を持ったお子さんは、光と音の刺激を減らしてあげるだけでだいぶ落ち着くように思います。)
 

•スヌーズレンに取り入れる要素は

スヌーズレンでは、障害のあるお子さんが主体的に活動できることが目的です。
 
苦手な刺激を減らしたら、好きな感覚刺激を積極的に取り入れてあげます。
 
保育の世界では、「環境設定」が重要と言われます。
 
それは保育者がどう関わるかではなく、子どもが設定した環境によってどんな遊びを展開しやすくなり、そこからどんな発達成長が期待できるかを考えることが大切ということです。
 
スヌーズレンでも子どもの主体性を引き出すような環境設定も重要だと思います。
 
主体的な遊びや活動の先には子どもの気持ちの安定や様々な発達が期待できます。
 
主体的な遊びを促すためには、お子さんが興味や関心を持ち、思わず関わりたくなるような環境を用意します。
 
要はお子さんの好きなものを用意してあげれば良いのです。
 
うちの子どもであれば、周囲からの過度な接触や触れられることが苦手です。
 
また小さい頃には好きな音楽が常にかかっていないとダメな子どもでした。
 
これらを踏まえると、うちの子の場合は、音や光などの過度な刺激の少ない状況で、好きな音楽をかけて一人で過ごすことが一番落ち着く環境になります。
 
またうちの子は回るものや光るものが好きなので、光るおもちゃや回るおもちゃを周囲に置いておきます。
 
環境設定と言うと難しそうですが、基本は刺激を減らして安心できる環境を作り、好きな遊びやおもちゃを用意する、これだけです。
 

◯療育者や保育者のスヌーズレンでの関わり方

療育者や保育者としてはついあれこれ手や口を出してしまいたくなるものですが、主体的な活動のためには干渉のしすぎは逆効果なこともあります。
 
例えば触覚が過敏ななお子さんにスライムや粘土などを与えた場合それが嫌な刺激だった場合は途端にパニックになってしまいます。
 
療育であれば感覚に慣れていく訓練も必要ですが、スヌーズレンではその子の好きなものを揃え、保育者はそっとリラックスしながら見守るくらいで良いのではないかと思います。
 
過敏性は発達とともに軽減されていく場合も多いですが、嫌な経験と結びつくと、苦手な刺激がさらに苦手なものとなってしまいます。
 
スヌーズレン内では基本は嫌な刺激は与えないことです。
 
お子さんが好きな刺激を集め、保育者はそれを「どれにする?」「やってみる?」と勧めるだけで良いと思います。
 
実際に遊ぶかどうかは子ども次第です。
 
スヌーズレンでは大人も子どももリラックスできる、刺激の少ない優しい空間であることが望ましいのではないでしょうか。

まとめ

スヌーズレンはまだまだ認知度も低く、デイサービスやご家庭などでもどう取り入れれば良いのか分からないのではないでしょうか。
 
スヌーズレンの基本は①お子さんがリラックスすることと、主体的に活動することです。
 
このポイントを忘れずにいれば、自然とどんな環境を設定すれば良いのかが分かると思います。
 
後は普段からお子さんの感覚特性を観察し、苦手なもの、好きなものを把握しておくことです。
 
そう考えると、スヌーズレンもそんなに難しいものではないはずですよね。
 
スヌーズレンにおすすめのアイテムはこちらの記事にも紹介しているので、よろしければ参考にしてみてください。
 
 
 
感覚過敏について詳しく勉強したい方は、こちらの本がおすすめです。

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