こんにちは。重度障害児の母、たんぽぽ母ちゃんです。
このブログを読まれている方は、お子さんに障害を宣告され、辛い思いを経験されている方かと思います。
あなたは、自分が頑張りすぎていると思いますか?
多くの方は、頑張りすぎていることに自覚のないものです。
我が子に障害を宣告されると、多くの方は受け入れられずに大きな悲しみを背負います。
そして、大きな悲しみの消化にはかなりの時間が必要です。
>>>我が子の障害を受け入れるまでにかかる年数は?〜「悲しみの5段階」とは〜
お子さんの障害の宣告から時間が経つごとに、お子さんが障害を負ってしまったという事実には慣れていくものです。
しかし、当たり前に生活していても、実際には自分の中の悲しみを偽り、心が頑張りすぎてしまっている方も多いです。
あなたは、時間の経過によって「受け入れたつもり」になっていませんか?
“つもり”とはどういうことかというと、感情に蓋をし、感じないフリをしているということ。
本人は受け入れたつもりでも、心の奥底には未消化の感情が渦巻き、無意識にそれを押さえ込んでいる状態です。
それは、精神的に非常に危険な状態です。
この記事では、感情に蓋をして、悲しみを感じないふりをした場合の精神への影響について書いていきます。
障害児の母として頑張りすぎている方へ~感情にふたをすることの危険性とは~
○感情に蓋をするとどうなるか?
障害児を育てていると、大変なことが次から次に起こり、子供のことで一杯で、自分自身の心に向き合う余裕がないかもしれません。
前向きに行こうとすればするほど、
「悲しいとばかり思っていてはダメだ」
と、自分の感情を押し殺してしまうものです。
本当は辛い、本当は悲しいと感じているのに、感情に蓋をし、感じないふりをしていると、以下のような弊害が起こってきます。
- 感情が麻痺する
- 対人関係に影響が出る
- 心のエネルギー切れ
感情が麻痺する
感情に蓋をし続けると、感情自体を感じなくなってくることがあります。
具体的には、感覚鈍麻という状態。
人は普通、美しいものを見たときには美しいと思い、
嬉しいときには喜びを感じますよね。
そういった感情が、あるひとつの感情を押さえ込むことにより、全て感じずらくなってしまいます。
心を守ろうとする防衛反応でもあるのですが、実際は精神を病む一歩手前です。
ショックな出来事の後に、以前と比べて物事の感じ方が変わっていないか、思い出してみて下さい。
私の場合、長男を出産し、病気が分かってから一年後くらいの一番悩んでいた当時、毎年楽しみにしていた桜を見ても「きれい」だと感じなくなり、季節の変化に対するワクワクした感覚も、いつの間にか感じなくなっていました。
テレビを見ても、人と話していても、心から「楽しい」と感じることが無かったように思います。
当時の私は頑張りすぎているという自覚もなく、ただなんとなく無感動になり、自分自身の感情に鈍感になっていたのです。
対人関係に影響が出る
次に問題になってくるのが対人関係への影響です。
・心の状態
自分の心の声から目を背けている人は、頑張っているように見えても、実際は悲しみで一杯の状態です。
コップに、満タンに水を注いだ状態をイメージしてみて下さい。
満タンのコップに水を足せば、すぐに溢れてしまいますよね。
自分の心というコップが、悲しみという水で一杯だと、少しの衝撃で、その感情は一斉に溢れ出します。
つまり、現実において、貯めて貯めてガマンしてきた感情は、ある時急に溢れ出す危険性があるのです。
感情を無理に押さえ込んでいると、必ずいつか限界がくるのです。
・他人への影響
感情に限界が来るきっかけは、対人関係のちょっとしたやりとりが原因となる場合が多いです。
特に近しい相手に対して感情は向けやすくなりますので、毎日を一緒に過ごす夫婦関係において感情の爆発によるトラブルは多いでしょう。
あなたは、よく考えてみるとたいしたことではないのに、
- 突然、他人からの言動がガマン出来なくなり喧嘩をしてしまった経験
- 涙が止まらなくなってしまった経験
などの経験はありませんか?
これは、心のコップが満タンであったために、少しの出来事がきっかけとなり、感情が溢れてしまった状態です。
溢れ出した感情は、自分でコントロールすることは難しくなるでしょう。
また人は、自分の気持ちに余裕がない時には、他人の感情を理解することが難しくなります。
心に感情を一杯に貯めた状態では、自分が他人を傷つけていることにも気づかない事が多いのです。
あなたの遭遇した、夫婦ゲンカや対人トラブルの原因を思い返してみてください。
あなたの心は悲しみでいっぱいで、余裕のない状態ではなかったでしょうか?
他人に対して、自分の悲しみ、気持ち、頑張りを、「認めて!分かって!」という状態ではなかったでしょうか?
障害児を子供に持つ夫婦の多くが離婚を選択するのも、こういった心理的影響があるのではないかと思います。
悲しみを消化しきらないまま生活を送っていくと、身近な人に対して、「分かってくれない」不満が溜まっていくものです。
自分自身で悲しみを消化しないと、知らず知らずのうちに、他人にそれを求めるのです。
この状態は、旦那さんや兄弟児へも、大きな影響を与えるでしょう。
>>>障害児がいることの、兄弟や夫への影響(母親が不幸でいることの影響)
私自身もちょっとしたことですぐ主人と喧嘩になっていましたし、たいしたことのない一言でも、自分でコントロールできないほどに急に感情が溢れ出すという経験が沢山ありました。
今思い返すと、本当に毎日、心に余裕がない状態だったのだろうなと思います。
私自身の気持ちの不安定さにより、子供に対しても影響があったと感じていますし、主人とも、もう離婚しかないかも、というところまでいきました。
当時は「分かってくれない主人が悪い」と思い込んでいましたが、本当は私自身の心のコップが常に満タンだったことが原因だったのだと、今なら思います。
◯心のエネルギー切れ
また、感情に蓋をして頑張り続けた場合、ある時急に限界が来て、心がエネルギー切れを起こしてしまうことがあります。
例えば、
「障害児の母として出来ることを全てやり、なるべく発達を促すような体験をさせてあげたい」
と思っていたとしましょう。
あなたは療育や障害児に効果のあるおもちゃやリハビリなど、色々なものを試し、様々な活動に参加していたとします。
それが本当はあなたにとって辛いことで、何をしても良くならない子どもの現状に絶望していた場合、またあなたの努力に見合う成果が得られなかった場合、どうなるでしょうか?
こんなに頑張ってもどうにもならない現状にさらに絶望し、ある日突然、何もするエネルギーも湧かなくなってしまうこともあります。
それは例えば、
「頑張ってるけど、なかなかできるようにならないね」
なんていう誰かの一言だったり、他のお子さんの成長が、ふと目に入ったときかもしれません。
とにかく、溜めて溜めて限界になっていた感情が、一気に溢れ出し、自分でもどうしようもなくなってしまう状態に陥るのです。
鬱とは、日常生活で何をするエネルギーも無くなってしまった状態です。
感情の糸が切れ、我慢の限界が来ると、まさにこのエネルギー切れの状態になってしまいます。
こうなってしまうと、なかなか自分でエネルギーを作り出すことが出来ません。
自分自身でも感情をコントロールすることが難しくなってしまうのです。
もしも日常において何もやる気が出ない、死ぬことばかりを考えてしまうなどの状態にある場合、周囲に早めにSOSを出すことも必要です。
心のエネルギー切れの対処法については、以下の記事を参考にしてみてください。
>>>障害児を育てていて、やる気が出ない、死にたいと思う時の対処法
まとめ
障害児を育てる中で、強い親であろうと頑張りすぎることは逆効果です。
対人関係においても、自分自身にも悪影響があることを覚えておきましょう。
大切なのは、悲しみから目を背けず、自分自身をしっかり癒しながら前に進むことです。
いつまでもお子さんの障害を受け入れられない、弱い母でも良いのです。
くれぐれも、頑張りすぎないで下さい。
いつまでも悲しみから抜け出せずに苦しい時には、こちらの記事も読んでみて下さい。
>>>我が子の障害を受け入れるまでにかかる年数は?〜「悲しみの5段階」とは〜
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