こんにちは、重度障害児の母、たんぽぽ母ちゃんです。
先日、医療費控除の申請方法についてお伝えしました。
>>>医療費控除の確定申告のやり方(重度障害児のオムツ代含む)
しかし、中には医療費が家族分を合算しても10万円に満たない、という方もいるのではないでしょうか。
そんな時に注目したいのが、2017年1月から始まった新制度、セルフメディケーション税制です。
セルフメディケーション税制なら、12,000円以上の薬代から控除申請を行うことが可能です。
今回は、セルフメディケーション税制の概要・申請方法・注意点などについてお伝えしていきます。
医療費が年間10万円に満たない場合は【セルフメディケーション税制】を使おう!
先日の記事で、重度障害児の場合はオムツ代も医療費として計算できる、というお話をしました。
しかし、重度障害児の場合、医療費も減免になる場合が多いため、オムツ代はかかるが医療費自体はそんなにかかっていない、という方も多いのではないでしょうか?
世帯全員の1年間の薬代・医療費の合計が10万円以下なら、医療費控除は受けることができません。
しかし、まだあきらめないでください!
重度障害児の場合、オムツの支給を受けていても、年間のオムツ代だけで3万円程度にはなるはず。
医療費控除が適応にならない場合でも、セルフメディケーション税制を利用すれば、12,000円を超えた薬代(オムツ代含む)は控除対象になりますよ!
それでは、セルフメディケーション税制とはそもそもどんなもの?医療費控除との違いは?どちらを選べばいいの?といった疑問について、詳しく解説していきます。
◯セルフメディケーション税制とは?
セルフメディケーション税制とは、2017年1月から始まった医療費控除に変わる(似たような)制度で、治療のためにかかった医薬品代が12,000円を超える場合に、所得税から控除できますよ、という制度。
医療費控除では世帯全員の医療費が10万円を超えなければ適応にならなかったのですが、セルフメディケーション税制なら、12,000円と、だいぶ敷居が低くなっています。
◯セルフメディケーション税制と医療費控除の違いは?
では、今までの医療費控除とセルフメディケーション税制では、どんな点が異なるのでしょうか?
医療費控除とセルフメディケーション税制の大きな違いは、以下の2点です。
- 計算対象となる医療費の違い
- 上限額の違い
①計算対象となる医療費の違い
医療費控除で計算対象となる医療費は、
- 病気の診療費や入院費
- 病院までの交通費
- 購入した医薬品(風邪薬など)
などでした。
オムツ使用証明書に医師から証明をもらえば、オムツ代も医療費として計算できるのでしたね。
対してセルフメディケーション税制は、
- 購入した医薬品(風邪薬など)
だけです。
つまり、セルフメディケーション税制は、病院代はあまりかかっていないけれど、薬代はそこそこかかった、という方におすすめの制度になりますね。
重度障害のある4歳以上のお子さんがいて、薬代・オムツ代が年間12,000円以上かかっている方なら、間違いなく適応になります。
②上限額の違い
医療費控除とセルフメディケーション税制の控除には、どちらも上限額が設定されています。
- 医療費控除 200万円
- セルフメディケーション 8万円
医療費控除は、10万円を超えた医療費を200万円まで、セルフメディケーション税制は、12,000円を超えた薬代を8万円までを上限額として控除申請できます。
◯医療費控除とセルフメディケーション税制、どちらを選べばいい?
医療費控除とセルフメディケーション税制は併用することができないため、どちらかを選んで申請することになります。
ここまでの説明を踏まえると、医療費控除とセルフメディケーションのどちらを選べばよいかがわかります。
医療費のうち、診療代がたくさんかかった方の場合は医療費控除を選ぶべきです。
診療代はほとんどかからず、主に薬代(オムツ代)だけ、あるいは医療費の合計が10万円に満たなかった方は、セルフメディケーション税制による控除申請を検討してみるといいでしょう。
つまり、
- 診療代・入院費 55,000
- 交通費 7,000
- 薬代(オムツ代) 36,000
- 年間の医療費合計 98,000
という方の場合、医療費控除の適応にはなりませんが、薬代の36,000円はセルフメディケーション税制の対象になるため、
36,000-12,000=24,000
で、24,000円分が控除対象になるわけです。
また、以下のように、10万円を超える金額が少なく、薬代が多くかかっているような場合も、セルフメディケーション税制を選んだ方が良いでしょう。
- 診療代・入院費 18,000
- 交通費 2,000
- 薬代(オムツ代) 96,000
- 年間の医療費合計 116,000
医療費控除の場合
116,000-100,000=16,000
セルフメディケーション税制の場合
96,000-12,000=84,000
※上限額を超えるため、80,000円が適応
よって、医療費控除を選ぶかセルフメディケーション税制を選ぶかは、最終的に自分で控除額を計算してみて、お得なほうを選ぶというのが良いでしょう。
毎年医療費や薬にかかったレシートをしっかり取っておき、しっかり計算することが大切ですね!
- 診療代・入院費・交通費・薬代の領収書はしっかり取っておく!
- 毎年の状況で、医療費控除とセルフメディケーション税制、どちらで申請するかを判断する!
◯セルフメディケーション税制の適応条件・注意点
セルフメディケーション税制の適当条件
医療費控除よりも敷居が低く感じるセルフメディケーション税制ですが、適応になるには条件もあるため注意が必要です。
セルフメディケーション税制の適応になるには、健康増進の取り組みをしているかどうかが適応条件になります。
証明するものとしては、以下の2つがあります。
- 予防接種
- 健康診断
健康診断は会社で受けていることがほとんどでしょうし、毎年インフルエンザの予防接種を受けているような方も、対象になります。
セルフメディケーション税制の申請の際には、予防接種であれば領収書の原本、健康診断であれば結果通知書のコピーの添付が必要になるため、忘れずに取っておきましょう。
ちなみに、予防接種や健康診断のさいにかかった料金については、医療費に含められませんので注意してくださいね。(治療のためのお金ではないため)
対処となる医薬品
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は、基本は「治療のため」に購入した医薬品のみです。
ドラックストアで購入できる医薬品では、OTC医薬品と呼ばれるものが対処となります。
風邪薬や胃腸薬、湿布など、対象になる医薬品は多いです。
最近では商品のパッケージに「セルフメディケーション対象」と記載があるものが多いので、確認してから購入するといいでしょう。
詳しくは国税庁のHPから対処商品を確認できます。
セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について(国税庁HP)
ちなみに、我が家は息子のてんかん薬を一部、個人輸入で購入しているのですが、振り込みの際の領収書や金額や明細が確認できるサイト画像・確認メールなどをスクショし、印刷保存したものでも証明になるそうです。
領収書自体は添付の必要はないので、調査が入った場合に提出できるよう、しっかりファイリングして保存しておきましょう。(7年保管)
注意!)マスクや消毒液は不可
最近ではコロナウイルス感染予防のため、マスクや消毒液を購入する方も多いと思いますが、マスクや消毒液の購入費は薬代には入れられないので注意してください。
セルフメディケーション税制で申請できる医療費は、基本は治療の際にかかった医療費。
予防のための費用は認められていません。
◯セルフメディケーション税制の申請方法
セルフメディケーション税制を利用した控除申請は、医療費控除の申請同様、確定申告で申請を行います。
領収書やレシートは事前にまとめておいてください。
セルフメディケーション税制を利用した控除の申請方法の、おすすめは2つです。
- 窓口で申請
- 国税庁 確定申告書等作成コーナーで作成し、郵送
①窓口で申請
窓口の場合は、管轄の税務署の窓口のほか、市役所の税務課でも申請可能です。
事前に簡単な明細書のメモを作っておきましょう。
人ごとに、日付・金額・項目を記載しておけばOKです。
申告書A以外の必要書類さえ持っていけば、その場で聴き取りながら還付申請書類を作成してくれます。
時間があり、税務署まで足を運べる方には1番簡単でおすすめの方法です。
②国税庁 確定申告書等作成コーナーで作成し、管轄の税務署へ郵送
↑こちらの国税庁のサイトを使えば、自宅から簡単に確定申告書を作成できます。
◯セルフメディケーション税制の申告に必要な書類は?
セルフメディケーション税制の申告の際は、以下の書類が必要です。
- 確定申告A
- 薬代の明細書
- 予防接種の領収書か、健康診断の結果通知書のコピー
普段レシートや領収書を取っておけば、あとは確定申告の際に簡単な明細書を作成するだけです。
日頃からアプリ等で記録しておくと、明細書作成の手間も省けますよ!
医療費の計算には、こういったアプリを使うと便利です↓
まとめ
医療費控除やセルフメディケーション税制の申請は正直めんどくさいですよね…
適応額が少額なら還付金も小額なため、手間と天秤にかけるとわざわざ申請をする必要がないように感じるかもしれません。
しかし、いきなり医療費がドカンとかかる年もあるもの。
その年になってから、いきなり申請をしようと思ってもなかなか大変ですよね。
レシートを取っておく習慣もなければ、損をしてしまうことにもなりかねません。
毎年申請をする心づもりでいれば、難しい申請にも慣れてくるもの。
賢く節税して、無駄に払いすぎていた税金はしっかり取り戻しましょうね!